アル・プス大縦走~縦走ゴンゲンゲンゴンから猿をバミれ~後編
待ちに待った奥穂とジャンダルム。
この岩場に取り付いたときは、足が震えた。
ジャンダルムの荘厳さたるや。
インスタばえ確実だろう。
もしかしたら原宿辺りでブイブイの子達がこぞって来てしまう・・・そんなスポットになりうるかもしれない。
『ねえ。今度の休みジャンダルもうよ~』
『えっ?わたしメッチャダルミたかったんだ~』
『ほんと~?!ダルムっちゃおっか~』
こぞって登山服を着た【ダルマー】が現れ【ジャンダルムの三段活用】で会話が成り立つという日もそう遠くないだろう。
駆け足で進む。
私には【読めない嫁の腹時計】という大きなプレッシャーが立ちはだかる。
急な岩場より慎重にならざる負えない状況。
【日本一の見晴台】も今の自分にはすんなり入ってこない。まだまだ修行が足りない。
ここで痛恨の道迷い。
しかし道に迷って正解だった!!
なんと、この城の城主にお会いできたのだ!!
こんなラッキーな事は人生の中で何度あるのだろう?
丁重にあいさつをさせて頂いた。
この光景にチップとデールがやさしく微笑みかけてくれる。やはりすばらしい山だ!!
もうひとつお気づきだろうか。少し前の写真に戻ろう。
【すべる注意】
そう、この山域はとにかく滑りやすい。
ザレ場や落ち葉がとにかく多いので注意が必要である。
このような立て札がどうだろう・・・登り始めから数えると20や30では利かないくらいあった。
気遣いの行き届いた本当にすばらしい山なのである。
しかしながら、芸人にはかなりシンドイ。
お笑いと関係なく登山を楽しみに来たのに、真っ向から現実を叩きつけてくる。
しかも30mも歩かないうちに、やさしさを滲ませながら【すべる注意】を念仏のように唱えてくるのだ。
滑ってもないのにである。
もう20回も越える頃には『俺・・・本当は滑ってるのではないのか?』と疑心暗鬼になるかもしれない。
きっと自分もこの縦走を終える頃には【ウケル感覚】も【スベル感覚】も無いのかもしれない・・・と考え始める。
もしかしたらこの看板、暗に魂に呼び掛け人としての成長を見越して立ててくれていたのかもしれない・・・
なんて深い愛情に満ちた山なんだ。
耳元で宇崎竜童のあのやさしい名曲が鳴り始めた。~森は生きている~
天狗のコルにと~~ちゃ~く!!
俺はもう迷わない!!
宇崎竜童まで出てきたのに、読めない嫁の腹時計にビビッて天狗沢にエスケープとかありえない!!
絶対に猿をバミってやる!!
決意は固まった。
ここからは早い!!
西穂を陥落した後にご覧のピラミッドピークもちょうだいし、独標から目に飛び込む【西穂高岳山荘】!!
この大縦走も残すところあと僅かとなってしまった。
あとひとふん張りだ。
そしてついに西穂山荘で猿をバミった瞬間!!
眼下の梓川もこの大仕事を穏やかに祝福しているようだ!!
あぁ!!なんて最高の休日だ!!
そうそう・・・嫁にメールを入れないと。
大偉業を達成直後に、猿をバミったのにここの屍になりかねない。
登山も遠足もお家に帰るまでがって先生に言われてる。
あとはロープウェーにのって新穂高~・・・
ここはストイックに己の足で下山しかない。
最後までツンデレの手を緩めてはくれないようだ。
あの有名な鉄人トレラン競技TKAR【トランス各務原アルプスレース】の開催地でもあるようだ。
そして大盛況のシダックス坂祝店の脇をすり抜け。
新穂高登山指導センターの間を通りいよいよ・・・
ついにゴールの地に降り立った!!
すばらしい山行だった。
色々な出会い経験の玉手箱!!
俺は山が大好きだ!!
嫁さんちゃんと迎えに来てくれたお。