キュートな南岳新道 ~We are the chanpon~
もうすぐ連勤が明ける。
どっかに行きたい・・・逝きたい。
電波の届かない場所。
って感じでいつもの妄想をするです。
でもってあまりネタもないので去年の回想をするです。
あれは暑さで列島がグニャっと以前よりまがっちまったんじゃないか!?なんて心配になったりした2018年8月。
テント担いでどっか行きてーなーと考えていた時、フェイスブックである情報を入手。
『南岳小屋でちゃんぽん食べれるよ~』
普段の精神状態では振り向きもしない記事に、二度見どころかってな具合に何故か食いつく。
きっと細胞レベルで何か起こっているに違いない。
気は確かかを確認の上、このお世辞にも主役とは言えない南岳に思いを馳せることとなった。
しかしおっさんにはひとつ問題が存在する。
『日帰り』
テントは担ごうが持っていこうが好きにすれば良いが、持ち合わせた時間は『日帰り』
いつもの【おツンツンスケジュール】で今回も寸分の【デレ】もない。
しかしこんなことも続けば【自らデレを探し創出する】技は身についてきている。
その技を試すには持って来いの【日帰り南岳新道~We are the chanpon~ツアー】のゴングが鳴り響くのであった。
時は2018年8月2日。
これも自分のド定番である【新穂高】スタート。
南岳新道なので当然だが、ぼくはほぼ新穂高からしか入山した事がない。
上高地は【一軍専用入口】
新穂高は【裏道どM向き入口】
なぜならまあまあ登ってからしか展望は望めない。
客引きのお兄さんにうまい事そそのかされ入店し、散々じらされた挙句『ここから先は別料金ですが』と宣告され引くに引けず酔いも冷め切った状態で大枚をはたく、あの感覚なのだ。
ダイスキダ。
右俣の永遠に続く林道。
普通の登山なら既に行って帰ってきてもおかしくない様な槍平までの道のり。
余程の妄想を抱きながらでなければポキポキに心は折れているであろうが、自分には【おツンツンルート指定】の南岳新道とchanponしか見えていない。
南岳新道はとにかく急登の連続。
【地味な南岳をちゃんぽんを食べるだけのために目指す】=【かっこいい】という自己催眠状態。
かなりエグイ。
もしお目当ての彼女をここに誘ってその子が『めっちゃ楽しいじゃん』なんて言葉を吐いたなら即結婚を申し込んだ方が良い。
何時どんな時も笑って過ごせるだろう。
しかしながらこの道のいいところは幾つか有る。
まず地味だけに人が少ない。
この日は5人程しか会わなかった。しかも殆どが下りの人。
そして何よりすばらしい登山道と景色が待っている。
バリエーションが豊かなのだ。
エグイ急登を過ぎた頃、切れたハイマツの尾根木道や残雪のトラバース、そして絶景の南岳カール。
まさにここにしか無い景色。
山はいつも【ツンデレ】
そうこの道は自分で【デレ】を創出する必要も無く、余りある【ツンツンデレデレ】を味わわせてくれる。
ヨレヨレ子羊おじさんになりながら、牛歩戦術でカールを這いつくばるとチラリと覗くトッキンさん。
何処登っても最後の最後までもったいぶる【トッキン槍ヶ岳さん】
この姿で大体苦労が報われる。
トッキンさんの底知れぬパワーだ。
そして南岳登頂。
ピークは控えめだが、展望最高。
無くてはならない助演女優な山。
派手さも無いしここまでの道のりはシンドイが、最後は素晴らしいプレゼントと共に己の人生とはなんぞやを暗に問い掛けてくれる懐深い山。樹木希林。
僕は今後南岳を【樹木希林岳】もしくは【希林さん】と呼ぼう。
そして目的の小屋でのちゃんぽんだが、お腹空き過ぎて恒例の【ブツ撮りし忘れる】プレーを炸裂。全て食べ終わりルービーを飲み干すタイミングで気づいた。
因みにここのルービーはキンキンに冷えて超美味しかった。
そして南岳といえば大キレット。
いや〜かっこいい。
勇者達が次々と上がって来るが皆充実の表情。
そんな猛者達に混じってまさかトッキンさんも大キレットもクリアせず、ただ南岳に来ただけの奴は居ないはずだ。
いかにも厳しい道のりを来た人間の様な振る舞いを醸し出しつつ、チャンポンを平らげ暫しの昼寝を経て下山する奴。
誰も知るまい。誰も気づくまい。
さらば希林さん。
そしてまたあのおツンツンルート指定の過酷な南岳新道をヨレヨレになりながら下り、長い長い林道を転がる。
そしてこの旅は最後にオマケが。
新穂高の登山者駐車場が満車で停められず、しらかば平の駐車場に車を停めている奴。
新穂高まで至ったのにまたおマゾな登り返し。
本気でタクシーを呼ぼうか迷ったが、修行と言い聞かせすっかり日も落ち人っ子ひとりいない超薄気味悪い道を帰ったのであった。
車に戻り絶命した事は言うまでもない。