スポンジ男の薬師岳悪天テント泊 〜だいたい白い〜
一年ぶりのテン泊だぁ〜
しかも初めての黒部五郎で。
あ〜めっちゃ嬉しいよねぇ〜
嬉しすぎて忘れてた事が何個かあって、一つは下調べ、もう一つは家族への報告。
あぁ、ダメなスポンジ野郎。
一つ目…下調べ編。
岐阜の人間が黒部五郎に向かうとなれば通常、新穂高か有峰の折立からとなる訳だが、折からの時間ナシお金ナシともなればその二択以外の選択肢を探る訳である。
そのちぃちゃ〜い願いを叶えるただ一つのルート『飛越新道』
『とびこし』だと思ってたけど正確には『ひえつ』と読むらしく、危うく親しみを込めて『とびっこ』なんて呼ぶのはご法度。
そしてヌメヌメヌタヌタで有名な飛越対策で長靴も用意するという、面倒くさがりな自分には珍しいくらいの気合。
仕事を終え風呂に入り、21時出発。
0時半事件が起きる。
ウソだろぉぉぉ。マジ⁈
そう、事前に有峰林道の飛騨側は通行止めというのは知っていた。
がしかし、料金所の7キロも手間からなんて知らなんだ。
そして抜群のタイミングで雨。
まあここで色んな選択肢に迫られることとなる。
『中止帰る』『新穂高から笠ヶ岳or槍ヶ岳or双六or三俣…』いやいや『折立から薬師or行っちまえ黒部五郎or雲ノ平』
激務パワハラ応酬明けでとにかく眠いし、とりあえず通行料払って折立行くかと彷徨いながら『有峰林道水須入口』に3時着で仮眠。
その間、夜中中豪雨&カミナリ。
5時40分頃ゲートが開く音が聞こえさあ出発!と意気込む。
ゲートの親切なおじさんに『折立行くなら亀谷料金所の方が近い』と言われる。
結果いちばん避けてたいちばん遠い入口がいちばんアクセスが良いという事実。
早く飛騨側の復旧を願う。
結局登山口7時スタートとなる。
ギリギリ雨も止みいい感じ。
歩き始めてあっという間に樹林帯を抜けるとそこは素晴らしいパラダイス。
なんちゅう素敵な登山道ってくらい。
最高の一本路。
木道ってのが雰囲気最高。
太郎小屋も最高のロケーション。
ここしか無いって場所に穏やかに建っている。
小屋界の八千種薫だ。
7時出発、薬師峠テント、モルツのロング缶…
そう、この時点でもう既に大概のことを諦めている。
振り上げたバットの先は薬師岳。
テントは自分のを含め2張。
最終的に4張。
最高に静かなテント泊の始まりだ!
と、一服してさあ薬師岳の山頂へ。
晴れてたら気持ち良いんだろうなと。
悪天男の哀しい性。
そして小屋の温度計は13℃。
テントに防寒着一切を忘れてくるというスポンジ。
半袖で乗り切らねばならない。
小屋で月見うどんを注文。
なんて気が利いてるんだ!と感心する右側の赤いやつ『一味』
見事『防寒一味うどん』となる。
声を張り上げて『薬師岳山頂』と叫んでも信じてもらえないこの光景。
霊仙山
西穂丸山
『半分青い』ならぬ『だいたい白い』
また来いという事だ。
風も強くとてつもなく寒いので、お詣りを済ませ下山。滞在3分。
途中振り返ると絶妙のタイミングで雲が切れてやがるぜ。
分かってます。
帰りは概ね気持ち良かったが晴れてたらきっと素晴らしい景色に違いない。
もう一度来よう。
で、外もこんな感じになってきてしまったのでやる事もなく、酒飲んで昼寝して18時にはメシ食って寝るという、山にただ居るだけ状態。
ここは携帯も電波拾わずの場所。
何もしてない時を刻む。気分は最高だ。
その夜、ブーブー寝てるとカミナリの音で目が覚める。
落ちては無いがゴロゴロ状態。
朝方4時頃には雨が降り始め、まもなく豪雨に。
6時頃に小降りになったのを見計らいさっさと撤収、下山する事にする。
ここで二つ目の家族への報告編。
帰る道すがらとてつもない勢いでLINEを受信することになる。
けたたましく『ドルルン、ドルルン、ドルルン…』
見ると嫁、おふくろから。
『アレ、泊まってくるの?』『返事下さい』『返事せーや』『生きとるか?』『生きてたらメール下さい』『生きとるの』等
オレ…言ったよね。てか、目の前でザックにテント入れたよね。アレ、言ったっけ?
あっ、てか黒部五郎に行くつもりだったっけ?
薬師に行くとは言ってないな。
アレ、言ってないか…?
あぁスポンジー。
無事に帰宅。
嫁の第一声。
『あんたの生命保険の証書は?』