蝶ヶ岳におじさん妖精 〜旅は初道連れ〜
奇跡のひとりぼっち男が遂に殻を破る時が来た。
それは一週間前の出来事であった。
仲良くさせてもらっているキャンツーがライフワークの上司のY氏から、『中津川のSさんとIさん登山してるらしいぞ』『いつも低山ばっかでアルプス行きたいって言ってたからオマエ連絡入れてあげてよ』と。
中津川のSさんといえば、歳(50半ば)の割に若々しい外見で物腰の柔らかい温厚なお方。
一度7〜8年前社員旅行のグアムの飲みの席でご一緒した際、その見てくれからは想像もつかない『経験』いや『遍歴』の持ち主だった事を思い出す。
そんなSさんが登山⁈と思ったが、人柄に興味が湧きそこは勢いで社内メールをかます。
『Sさんお久しぶりです!なんだか登山されてるそうで、Y課長からお聞きしました。突然ですが、もし宜しければ来週蝶ヶ岳行くつもりですが、お暇でご興味あれば登りませんか?』
まもなく返事が来る。
『ぜひぜひご一緒したいです。アルプス行きたいです!お願いします!』
なんちゅうノリだ。
とても50半ばで登山始めた人のノリではない。
今まで大体行きたいと言う人に限って『まだ早い自信がない』とか『腰痛持ちで…』とか『膝やられて…』とか『嫁が…』やら『子供に…』やら『ハムスターと…』…………
もう誘う事が面倒になっていた時にこの返事をするおじ…大先輩。僕はこの人を信用して良いのだろうか?
それから数回メールでのやり取りの末、恐ろしい程の意気込みに自分のお気軽さが申し訳なくなる程。
ここで、蝶ヶ岳を設定した事に安堵した。
Sさんの意気込みや大きな期待を蝶ヶ岳さんは軽く受け止めてくれる筈だ。そして僕が言い出しっぺという責任も、蝶ヶ岳さんが全て背負ってくれるだろ。
三俣7時出発。
僕は車中泊し、Sさんは7時ピッタシ到着。スバラシイ。
当日は、暑くもなく寒くもない晴天。
北アルプスデビューにふさわしい天気。
この日はSさんと会話が弾んだ。
山の事や会社の事、私生活や見える景色。
Sさんは予習してきたらしく、ゴジラに感動し、特に常念〜前常念の尾根が見えた時はかなり感動して写真を撮りまくっていた。
途中現れる階段や蝶沢の雪道が地味にシンドイ。
と、まてまて。
このおじ…大先輩普通についてくるじゃない?
あれ?意外と涼しい顔してついてくるじゃない?
『Sさん、ペース大丈夫ですか?』
『あ、ありがとう。気遣ってペースあわせてくれてるよね?』
マジか…こっちはもう48手使い終えもう痩せ我慢すら出来ない。このおじ…大先輩なに?
『僕限界ですわ、少し休みましょう。Sさんめっちゃ健脚じゃないっすか!』
『結構シンドイけど大丈夫。気を遣わなくていーよー』
マジか。まだ気遣ってる定になっとる。
『めっちゃタフっすね⁈スポーツなんかやってました?』
『あ、オレ?学生の頃スピードスケートやってて補欠だけど国体行ったなぁ。橋本聖子がちょうど出てた時だよ。昔の話だけどね〜』
でた。
ガチ経歴の人。ガチアスリートですやん。
何ならスピードスケートって。
そんなんやってた人、聞いたことないですやん。
橋本聖子。レジェンドですやん。
マジか…
まじ先行って下さい。
そこで、少しナメてた自分に気づきました。
正気に戻りました。ありがとう蝶ヶ岳。
そんなこんなで今日の核心部。
蝶の稜線から覗くアレ。
僕は大先輩Sさんにコレをみてもらいたかった。
きっとハマってしまうに違いない!
デデ〜ンと広がる蝶と穂高の大パノラマ。
コレを見た瞬間、大先輩Sさんは歓喜。
ほぼ絶句。
思わず出た言葉は『さ・い・こ・う』
セーラー服と機関銃の『か・い・か・ん』
僕はクリステルの『お・も・て・な・し』程のドヤ顔でお返しする。
しかし何故だろう。
見えるだろうか?肝心なもの。
ほら、いつものパターン。
先っちょ。
Sさんが『へ〜凄いなぁ!槍は?』
ですよね…
『いや〜、恥ずかしがり屋さんですね〜。きっとですね〜、風あるんで少しまてば見れそうですね〜』
なんて、なんの確信も無いまま答える。
毎回そうだが、何故先っちょ隠す?
てか、今大先輩に必要なのは『先っちょ』以外あり得ない。
男全般『先っちょ』でしょう。
もう念力を送るしか無い果ての一枚がコレ。
大先輩Sさんのストックの先の先っちょ。
うまく雲モザイクがかかり、ウス眼で透かしても先っちょが微かに…って程。
この後、2時間近く居たのだがこの写真を最後に槍さんは姿を消してしまった。
苦しまぎれにSさんには、『また来いって言われてるんですよ!』なんて言うと、『そういう事だね〜。でもホント最高だわ〜!ホントありがとう!』
マジいい人だ。
なんて良い人なんだ。
その後小屋にて昼飯と共に、盃を酌み交わし雑談雑談また雑談。
Sさんの山をはじめたキッカケなんかも聞いたが、境遇みたいな物が似ていて、こういう大自然が沁み入るタイミングみたいな物が皆んなあるんだなぁと思った。
そして山で『それらを流す』とゴミと同じで山を汚してしまいそうなので、山から得たもので自分を『浄化』しましょうなんて話もした。
帰りも、そんな話をしたものだから少ないながらも、登山道のゴミを拾いつつ下山。
ほぼボッチ登山しかしてなかったが、大変有意義な山旅となった。
そう、今回は大した事件もハプニングも無いまま、ただ平和に幕を閉じた。
そうそう、今回の蝶ヶ岳。行きたいと思った理由が他にもあったんす!
コレ
そう、このザックを新調して、ただ使いたかった。
『KSウルトラライトギア』っていうおフランスの方の手作りザック。
実際お会いして作って頂いた品。
めっちゃめっちゃ良かった!最高のザック。
自然とか登山って素晴らしいって事なんです ~永久迷走おっさん~
自分はネガティブ側の人間だ。という事は散々認識している。
ちょっぴりおせっかいで米粒ほどの正義感で自分がめんどくさい事になったりもする。
ここ数年はそんなものをタンスの隅の無印収納ボックス(当分使わない)に押し込めてるつもりだったが、きっと意識せぬまま駄々漏れている。
一応もともと体育会系なので、仕事上の目的や目標があっての理不尽やパワハラはまあまあ許容出来る人間だと思っている。
がしかし、傍から見ているそれらは何だかやはり自分から何かが漏れてくる。
ガマンルーシーが・・・
みんないろいろ立場もあって感情もあって、ってのは分かるんだけどね。
大事なのは、我々おっさん達がいちばん意識したいのは次の世代の若者じゃないかと。
若者が悪いんじゃないです。若者とちゃんとコミュニケーション取れないおっさん達が・・・申し訳ない。
過保護とか温室育ちとかそういうんじゃなくて。
結局、社会も会社も組織も・・・・もはや構造的にダメなんだと思ってます。
書けばきりないけど、社会も行政とかにサービス求めすぎちゃってて、で政治家はそのサービスを売りにしちゃってて、税金やらでお互い首絞まっちゃってて、企業は数字求めすぎちゃってて、働く人は毎年来る数字に耐え切れず諦めればまだしも、ドーピングして応えちゃったりしちゃったりで、彼らが神の様に崇められちゃったりしちゃえば、無垢な若者達の生きる目標や価値観やもろもろがそっち方面に向いてしまう。
何が正しくて正解でってのが立場によっても環境によっても違うのは重々承知だけどね。どばっっっと漏れ出てしまう。
全ての物は早かれ遅かれいつかは滅びる運命なんだけど、でも次の世代に無責任ではいけないんじゃないか?と。
それは自分も全く完璧ではないし偉そうな事は言えないけど、ただそういった意識や責任感や思いやり、愛くらいは持ち合わせていないと本当に自分達がいろんな物をもの凄いスピードで壊していってる実感がありまして。
自分にも大変尊敬すべき先輩方が居て教わってっていう流れがあって自分も・・・
とにかく、自然とか登山とか素晴らしいって事なんです・・・苦笑
山登りには然るべき準備だってスキルだって必要で背伸びは禁物、近道は無いから楽しめる。シンドイしね。
『生きるという事』がいっぱい詰まってる。
イタドリが原らへんで昇天男 〜ホタテ隠蔽問題〜
ついにこの中年男は天国に昇天してしまったのだろうか?
悪天候と急な仕事で5月を棒に振り、シーズンインを果たせずの男。
前日の晩は、嫁さんと岐阜の街で呑んでいた。
あまりに久しぶりの出来事で動転し気を逸したのか、『明日山行ってええ?』と聞くと『ええよ。てか、何処の山?』
自分『決めとらん。穂高らへん』
嫁『らへんって?素人か?』
自分『おぉ…シロウトャ』
嫁『で何処?』
自分『笠ヶ岳らへん…』
嫁『らへん?…』
って事で4:00に家を出発。
7:15に新穂高に到着。駐車場には5〜6台。
腹痛。トイレに急行。結局7:45笠ヶ岳らへんに向け出発。
薄曇りだが湿度も気温もお高め。朝から半袖Tシャツにベストで大丈夫なほど。
程なく『らへん』で有名『笠新道』の登り口に到着。
…だろうよ。
てか、日帰り野郎が7時過ぎに出発時点で笠ヶ岳らへんも無い。資格ナシ。
鏡平らへんに変更。
そもそもピークも目指して無いハイキング。
自然を感じ綺麗な空気を胸いっぱいに吸ってタラタラ散歩するのだ。そして槍を愛でながら美味しい物を喰らう算段。
しかし人っ子ひとり居ない。正に大自然独り占め。独りになりに来ている自分は、こういうのが最高なのだ。時期を外すに限る。
そして現れるお山様の聖なる白いおゲロ。
これが地味にシンドイ。チェーンスパク持参だが使わず。何故か目標より上に登っているのだ。道迷いの原因である。
そんな事を序盤に2、3繰り返し小池新道の入口のホッとする絶景。
どっちが上だか下だかだが、上高地ならぬ下高地的な、負けず劣らずな場所。
小池新道を歩くと程なく槍穂高の絶景。そして焼岳。
いや〜最高。
何度も言ってしまうが、この素晴らしい環境の中ひとりぼっちというのが何ともたまらない。
友達が居ない事の最高の見返りか⁈
でもって丁度イタドリが原の手前らへんのこのおゲロらへんで、ズボズボなりはじめてタイムアップ。
嫁子の関係で、14時頃には駐車場に帰らないといけない。実は鎖につながれ状態である。
ここでお気づきの方もおられるだろう。
槍・穂高を覆う白い影。
今日の目的は、槍・穂高を眺めながら美味しいものを喰らう。
この楽しみを、最高のタイミングで演出してくる大自然。
『先っぽだけ覆い隠す』という『週刊誌袋とじ戦法』または『武田久美子ホタテ隠蔽状態』という高等テクニック。
透かして見ても横っちょから見ても、先っちょは見えないもどかしい状態の中カレーを喰らう。ビール忘れる。
やがて風も強まり『やはり退散』状態。
目的はある程度達成したしってな事で早々切り上げ引き返す。
きっとフキノトウ?
『まるで空気ではないか?』と見間違えるほど透明な沢の水。
そして『強者共の夢の跡的忘れ物』
早く持主の元に帰って欲しい。
ここでひとコケかまし。
ブナ並木を抜け、最高の散歩となった。
本日の忘れ物リスト。
帽子
アイゼン
ビール
折角昨日準備した水とウインナー
ダムカード襲撃団と優しいお巡りさん
『5月になっても忙しぃーじゃねぇかぁー!!』
世の中は10連休。
僕は4連休。
『まあまああったじゃん!!』
なんて歓喜の声も聞こえてきそう・・・が、しかし・・・
これが【わが社マジック】
前後の週休2日を【寄せて上げる】戦法でただ集められた4日間。
プラマイゼロ。
行って来い。
三歩進んで三歩下がる。
もう嫁娘も慣れたものだ。
既に『父無し』スケジュールでゴールデンウィークは埋まっている。
だが、そこに父は『登山』というワードをぶち込んでみせた。
娘に新しい登山靴を無理やり履かせ、嫌がる娘を拉致同然に車に乗せる。
向かったのは『高賀山』
何故かというと・・・
1. 1000m級でありながら360度のすばらしい展望を持つ山である
2. 林道を使えば山頂まで800m尾根を歩けばそれらをゲット出来るお手軽さ
嫌がる娘にはちょうどいいはず。
そして娘がその絶景を見たとき『登山最高』と思わず口から出てしまうのではないか?とスカスカ脳で妄想してみせた訳だが、結果は『早く帰ろう』
おにぎりだけ食べて下山。
絶対に今年の夏は家族で登山だぁぁぁぁぁぁぁ。
話は変わるが、実は14日15日もしくは21日22日に蝶ヶ岳にテン泊に行こうと計画していた訳だが、怒涛の仕事と天から授かった悪天候男の宿命により山行が絶望的に。
そんな【ひとり泥沼生き埋め事件】で【休日】が幕を閉じそうになるギリギリのところで【天からのライン】で沼から這い出ることとなる。
『荘川に蕎麦ツーリング行く?』
会社のバイクお仲間からの救いの手。
ありがたやぁ~~
こうして『天国の階段を昇り、天国の扉をノックする』権利を得ることとなった。
当日、レギュラーメンバーの一人である【還暦悪天男】不在で超~快晴となってしまった。
【悪天の神】と呼ばれて久しいその男は昔、『オフ車でグイグイ林道をかっ飛ばしブラインドコーナーで山側からの倒木でラリアットを食らい、バイクだけ谷に消えていった』事件を起こし、そのせいで山の神が怒り、二度と彼が山に入らぬ様『悪天男』にした・・・という伝説をもつ男なのだ。
僕の【悪天癖】など足元にも及ばない、その道を極めた男。
複雑だが、今日は不在であることに密かに感謝したい。アリガトウ。
というわけで、快晴蕎麦ツーとなった訳だが盛りだくさん過ぎる内容の一日となる事をこの時点でまだ誰も知らない。
朝9:00美濃の道の駅集合。
なんと当日は【ロードオブジャパン 美濃ステージ】と言われるロードレースの超デカイ大会の為美濃市のところどころが交通規制&お祭り騒ぎ。
その為でも無いと思うが、遅刻の常習犯達がここぞとばかりに言い訳。
スタート40分遅れ。
まあいい、快晴の休日だ。
コースは岐阜→R156ひたすら北上→郡上八幡→道の駅古今伝授の里やまと→やまびこロード→阿多岐ダム→キャンプ場視察→荘川の有名な蕎麦屋→御母衣ダム→家路
途中ダムを挟むのは、50代を越え晴れて独り身となり溢れる欲望をせき止める意味を込め【ダムめぐり】が趣味になってしまった笑顔が不敵な永久絶倫ダンディーN氏たっての願い。
ダムをめぐり【ダムカード】なるものを集めているらしい。
そのダムカードが彼の果てぬ欲望の抑止力となり得るのか?
決壊の瞬間を見届けてあげよう。
最初に立ち寄ったやまとの道の駅は売店や温泉・足湯など超充実。
その後の【やまびこロード】はツーリングにもってこいで【気持ち良い】のひとこと。
やはり岐阜に産まれ育ち、暮らして良かったぞ。
途中お目当ての【阿多岐ダム】にてダムカードゲット。
無人だったが入り口に燕の巣の様な状態でカードが置かれていた。
人知れずブームになり過ぎ対応が面倒になりそのような形になったのだろうか?
そして、NAOキャンプフィールドなるキャンプ場視察。
からのやまびこロードひた北上すると、牧歌の里付近で雄大な【白山】が惜しげもなく顔を出す大サービス。
生ビールのお姉ちゃんポスターの如く、グラマラスではなかろうか?!
さすが白山、全く隙のないパワースポットである。
からの荘川の有名な蕎麦やで昼食。
美味いに決まっている。
日本酒やルービーが無性に呑みたい。
大人だから耐える。
そして御母衣ダムのダムカード。
だが、MIBOROダムサイドパークという施設が休館。自動的に貰えず。
諦めきれず、このヘルメットを被った怪しい一団がダムの管理施設的な建屋に移動し襲撃するが相手にされず、なす術なしでおじさん達はうなだれ水面を眺める事に。
そこで一同気がどうかしてしまったのだろう。
記念撮影とばかりに、完全なるおじさん達がジャンプ写真を撮り始めたのである。
その数々がこれだ。
全く跳んでいない。
いや、跳んでいる筈だが問題点は大きく2つ。
1. タイミングがよろしく無い
おじさん達はもう脳の司令と伝達のギャップが取り返しのつかない程になっている。
2. 何しろ滞空時間が短い
もはやだいぶ跳んだつもりが跳べてない。
最後の写真に至ってはもう足腰ヤラレタ人達になってしまっている。
結局一枚も宙に浮いた写真は撮れぬまま御母衣ダムとはお別れをした。
そしてこの後の事である。
やはりあの絶景『白山』をバックに記念写真を撮りたいという事で、午前中の場所へ。
丁度良いあぜ道を見つけバイクを並べ、おじさん達は懲りもせずジャンプ。
また跳べずである。
これもだ。
そしてこうなる。
この男はいったい何をしてしまったのだろう?
まさかのあぜ道のど真ん中で職質を受ける男。
いや我々。
そう、本当に怪しいおじさん達となっていたのだ。
御母衣ダムから引きずる襲撃団の香りが、この素晴らしい景色には不釣合いである事を自覚していなかったのだ。
しかしこのお巡りさんは、余りにもイタイおじさん達の事を優しく諭し、帰り道の安全まで気を配って解放してくれた。
皆さんには伝えたい。
大人の自覚と責任感。
はしゃぐのは程々に。
ゲンゴウゴシハルサメ 〜的のない空中戦〜
自分『今日は蕎麦じゃね?』
嫁『それ年越しのこと?前頭葉の萎縮だいぶきとるな…』
娘『え?ママやったー!蕎麦食べたい!』
嫁『えー。蕎麦無いし。春雨ならあるけど』
娘『春雨食べたい!ゲンゴウゴシハルサメやん』
ゴツイな。
TOKYO 〜ミスも匂いもメリノが解決〜
TOKYO
それは、岐阜のサル男にしたら大変な覚悟でもって挑まなければならない。
会社から『あぁ…明日からヒマラヤ支社で頑張ってよ』なんて言われるのと同じくらい遠く過酷な場所のイメージ。
過去に東京の某大学を受験した事がある。
その時も失態の連続だった。
1.田舎者の知識で予約した宿が受験会場からめちゃ遠い。乗り継ぎで1時間程かかった。
2.前日はしゃぎすぎ勉強もせず早朝から街を歩き回り酷い靴擦れ発症
3.前夜、東京ドームを散歩し近くにあった豚骨ラーメンを食べ酷く腹をこわす
4.その腹痛が治らないまま翌日受験会場に向かい、途中のトイレに駆け込み気絶寸前になる(死んだように体温が下がる)
5.大学構内のモスバーガーに都会を感じ面食らう
6.座席の隣の子が『大塚寧々』似で意識し過ぎ、自分がお腹を下しているのを悟られまいと余計緊張し結局受験の事を覚えていない程になる
という、メンタル、脳みその弱さが露呈し勿論桜散りまくったトラウマ。
春休み…
土日休みのない自分は、年に何度も出来ない家族旅行。
娘たっての希望で夢アイランド『東京ディズニーシー』に乗り込むことになった。
人混みが苦手な自分には試練の場所である。
早くもヤバイ、ヒト、ヒト、ヒト…
多分岐阜市の人口より多いんではなかろうか?
密度がハンパない。
娘の手前平静を装うチチ。
もうダメだ…
開園から30分。
自分を夢の国に連れて行く事にした。
しかし毎回思うが、ここの生はクソ美味い。
なんだろう。何杯でもいける気がする。
そこからはただただ園をウロつくおじさん。
山観たり。
なんだろね〜
凄い施設だね〜
なんてビールを喰らう。ホント異国。
しかしこの日は寒かった。
東名の御殿場辺では夜中みぞれが降ってたほど。
途中『スコッチハイボール』なる飲み物を見つけ10分並び買う。コレまためちゃ美味い。
こうして、寒いとこの人の様にカラダを温め凌ぐ。
娘は楽しそうだ。
17時過ぎ、もうかれこれ5~6杯目であろうか…
この一杯を頂いている最中冷た過ぎる雨が降り、娘も嫁さんも完全に心が折れショーを観る事なくホテルに退散することとなった。
思い出は美味しいお酒と共にお持ち帰り。
ホテルに戻り発覚しました。
いつものヤツ。
忘れ物。
自分の着替え一式。
ここ最近上手く立ち回っていた自分への戒めだろう。
ある人はこう言う。
『不便を楽しむ』
この何でも揃う街『TOKYO』で昨日着ていた物と同じ服を着る。
まるでアニメのキャラクターの様に。
こういう時に登山野郎は真価を発揮する。
メリノのインナーにアミアミベースレイヤー。
メリノの靴下。
次の日も決して『クサイ岐阜の人』にならず、胸を張って原宿を歩けるのだ。
そして原宿。
訳の分からんフニャけた『スクイーズ』とやらを買いに来る。
芋洗いだの足の踏み場だのってなレベルでは無い。
岐阜辺りでは経験した事無いくらいで、唯一初詣で賑わう伊奈波神社かお千代保稲荷の最前線くらいか。
申し訳ないがキモイ。
3分もつかもたないか。
カラータイマーなりっぱなし状態で竹下通り離脱でおっさんお目当てのこの並び。
アークにホグロフス 、ノースの原宿三山。
中日で言う、大島・谷沢・ケンモッカ。
ホグロフスで山シャツ、ノースでスーパーハイクパンツゲットでおっさんは終了。
ホグロフスでは大変気持ちの良い接客をして頂いたが、後に知ったのだがその方は店長さんでpeaksにもご出演されていた、お髭の素敵な青年。
帰りにアノ厳しい嫁が『あの人の眼は汚れていなかった』とガガーリンが言ったかの如く言い放った。お墨付きである。
その後、コレまた洒落たキッチンカーなるいわゆる移動販売車の弁当を買って公園で食べ、車で目白の『パタゴニア』とその下の『カラファテ』縦走。
この『カラファテ』さんはこれまた東海には無いマニアックな品揃え。東京どうなってんだってほど良いお店じゃない。
岐阜の方が山いっぱい有るのにお店が少ない。
人口の問題か?岐阜飛ばし問題である。
その後、東京をグルグル回って御殿場アウトレットに立ち寄り家路へ。
一泊二日では足りない。
なかなかのんびりとはいかないが、まあこんな経験も良いのではないか。
ここまで来ての旅の教訓は、『大都会TOKYOでもインナーはメリノに限る』でした。
その男ヒマにつき
『ヒマは人を成長させる』
かの有名な人が一度はチラッと思い言いたかったがしょーもないと思い残さなかった言葉。
このヒマな男は山に行く事にした。
高賀山。
それはそれは霊験あらたかな山岳信仰で知られる山。
夏場は『ヤマビル』の聖地、パラダイス、フェス会場と化す山。
ヤマビル様が眼を覚ます前に登ります。
登山道が気持ちいい。
なんかこの樹々を縫って続く坂道だの、すぐ横を流れ落ちる沢の流れだの全ての要素がなんとまあ素敵なことか。コイツァーだいぶ病んでやがる。
今日は僕の相棒で厳冬期の穂高でハワイ気分を醸し出してくる『ハッピーウォッチ』だが、今日は覚醒。
そして真新しい橋。
本当に只今架けてもらえたばかり。
作業の方から『今架けたばかりだから滑りやすいので気をつけてください』と。
本当にありがたい限り。
いつもだが登山道を整備されている方には本当に感謝である。
以前初登山で登山道を整備されていた方に出会った時、黙々と馬鹿でかい石をバールで少しずつ動かしながら階段を作っていた。
好きで山に入っている我々が怪我をしない様に、歩きやすくそして道に迷わない様に整備されていた。
『ありがとうございます』
と挨拶をして通り過ぎた。
また下山の時までその方はまだ黙々と作業をされている。
『ああ、本当に山男はカッコいいなぁ』と。
その方こそ後に分かったのだが、宮田八郎さんだった。
穂高から帰り何か映像ないかな?なんて思い、たまたまハチプロダクションの映像にたどり着き、そこに映っていた方がその人だった。
こうして安全の為一生懸命整備してくださっている方々がいらっしゃる。
そこにお邪魔している身であることをわきまえないとと思うし、最低限の知識や技術、装備でもって『自己責任』前提で山を楽しみたい。
危険だからと安易に自然に手を加えてしまうのも喜ばしく無い。心構えとスキルが必要だから登山は楽しいと思う。
とか思いながら山頂に到着。
360度見晴らし最高!
目前には立派でかっちょいい白山と奥には能郷白山。
最高だ!最高の休日だ!
山頂で昼食をとり1時間ほど他の登山者の方々とお話、そして下りてくると橋もめちゃくちゃ綺麗に完成。工事の方に再度お礼を言って帰って来た。
さーてさて、貴重なヒマ。
急に燻製したくなりダンボールで燻製器を自作。
ルービー片手に食べるはずが、娘に食べられる始末。まあいい。普段からそういう事には慣れている。今日は素敵なヒマなのだから。
そして最後に。
明日は会社に行けま………せん。