だいたい山旅〜遊びたいのも山々

人生も折り返しを迎えたアラフォーおじさんの荒波一万尺

蝶ヶ岳におじさん妖精 〜旅は初道連れ〜

奇跡のひとりぼっち男が遂に殻を破る時が来た。

 

それは一週間前の出来事であった。

 

仲良くさせてもらっているキャンツーがライフワークの上司のY氏から、『中津川のSさんとIさん登山してるらしいぞ』『いつも低山ばっかでアルプス行きたいって言ってたからオマエ連絡入れてあげてよ』と。

 

中津川のSさんといえば、歳(50半ば)の割に若々しい外見で物腰の柔らかい温厚なお方。

 

一度7〜8年前社員旅行のグアムの飲みの席でご一緒した際、その見てくれからは想像もつかない『経験』いや『遍歴』の持ち主だった事を思い出す。

 

そんなSさんが登山⁈と思ったが、人柄に興味が湧きそこは勢いで社内メールをかます

 

『Sさんお久しぶりです!なんだか登山されてるそうで、Y課長からお聞きしました。突然ですが、もし宜しければ来週蝶ヶ岳行くつもりですが、お暇でご興味あれば登りませんか?』

 

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まもなく返事が来る。

 

『ぜひぜひご一緒したいです。アルプス行きたいです!お願いします!』

 

なんちゅうノリだ。

 

とても50半ばで登山始めた人のノリではない。

 

今まで大体行きたいと言う人に限って『まだ早い自信がない』とか『腰痛持ちで…』とか『膝やられて…』とか『嫁が…』やら『子供に…』やら『ハムスターと…』…………

 

もう誘う事が面倒になっていた時にこの返事をするおじ…大先輩。僕はこの人を信用して良いのだろうか?

 

それから数回メールでのやり取りの末、恐ろしい程の意気込みに自分のお気軽さが申し訳なくなる程。

 

ここで、蝶ヶ岳を設定した事に安堵した。

 

Sさんの意気込みや大きな期待を蝶ヶ岳さんは軽く受け止めてくれる筈だ。そして僕が言い出しっぺという責任も、蝶ヶ岳さんが全て背負ってくれるだろ。

 

三俣7時出発。

 

僕は車中泊し、Sさんは7時ピッタシ到着。スバラシイ。

 

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当日は、暑くもなく寒くもない晴天。

 

北アルプスデビューにふさわしい天気。

 

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この日はSさんと会話が弾んだ。

 

山の事や会社の事、私生活や見える景色。

 

Sさんは予習してきたらしく、ゴジラに感動し、特に常念〜前常念の尾根が見えた時はかなり感動して写真を撮りまくっていた。

 

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途中現れる階段や蝶沢の雪道が地味にシンドイ。

 

と、まてまて。

 

このおじ…大先輩普通についてくるじゃない?

 

あれ?意外と涼しい顔してついてくるじゃない?

 

『Sさん、ペース大丈夫ですか?』

 

『あ、ありがとう。気遣ってペースあわせてくれてるよね?』

 

マジか…こっちはもう48手使い終えもう痩せ我慢すら出来ない。このおじ…大先輩なに?

 

『僕限界ですわ、少し休みましょう。Sさんめっちゃ健脚じゃないっすか!』

 

『結構シンドイけど大丈夫。気を遣わなくていーよー』

 

マジか。まだ気遣ってる定になっとる。

 

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『めっちゃタフっすね⁈スポーツなんかやってました?』

 

『あ、オレ?学生の頃スピードスケートやってて補欠だけど国体行ったなぁ。橋本聖子がちょうど出てた時だよ。昔の話だけどね〜』

 

でた。

 

ガチ経歴の人。ガチアスリートですやん。

 

何ならスピードスケートって。

 

そんなんやってた人、聞いたことないですやん。

 

橋本聖子。レジェンドですやん。

 

マジか…

 

まじ先行って下さい。

 

そこで、少しナメてた自分に気づきました。

 

正気に戻りました。ありがとう蝶ヶ岳

 

そんなこんなで今日の核心部。

 

蝶の稜線から覗くアレ。

 

僕は大先輩Sさんにコレをみてもらいたかった。

 

きっとハマってしまうに違いない!

 

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デデ〜ンと広がる蝶と穂高の大パノラマ。

 

コレを見た瞬間、大先輩Sさんは歓喜

 

ほぼ絶句。

 

思わず出た言葉は『さ・い・こ・う』

 

セーラー服と機関銃の『か・い・か・ん』

 

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僕はクリステルの『お・も・て・な・し』程のドヤ顔でお返しする。

 

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しかし何故だろう。

 

見えるだろうか?肝心なもの。

 

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ほら、いつものパターン。

 

先っちょ。

 

Sさんが『へ〜凄いなぁ!槍は?』

 

ですよね…

 

『いや〜、恥ずかしがり屋さんですね〜。きっとですね〜、風あるんで少しまてば見れそうですね〜』

 

なんて、なんの確信も無いまま答える。

 

毎回そうだが、何故先っちょ隠す?

 

てか、今大先輩に必要なのは『先っちょ』以外あり得ない。

 

男全般『先っちょ』でしょう。

 

もう念力を送るしか無い果ての一枚がコレ。

 

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大先輩Sさんのストックの先の先っちょ。

 

うまく雲モザイクがかかり、ウス眼で透かしても先っちょが微かに…って程。

 

この後、2時間近く居たのだがこの写真を最後に槍さんは姿を消してしまった。

 

苦しまぎれにSさんには、『また来いって言われてるんですよ!』なんて言うと、『そういう事だね〜。でもホント最高だわ〜!ホントありがとう!』

 

マジいい人だ。

 

なんて良い人なんだ。

 

その後小屋にて昼飯と共に、盃を酌み交わし雑談雑談また雑談。

 

Sさんの山をはじめたキッカケなんかも聞いたが、境遇みたいな物が似ていて、こういう大自然が沁み入るタイミングみたいな物が皆んなあるんだなぁと思った。

 

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そして山で『それらを流す』とゴミと同じで山を汚してしまいそうなので、山から得たもので自分を『浄化』しましょうなんて話もした。

 

帰りも、そんな話をしたものだから少ないながらも、登山道のゴミを拾いつつ下山。

 

ほぼボッチ登山しかしてなかったが、大変有意義な山旅となった。

 

そう、今回は大した事件もハプニングも無いまま、ただ平和に幕を閉じた。

 

そうそう、今回の蝶ヶ岳。行きたいと思った理由が他にもあったんす!

 

コレ

 

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そう、このザックを新調して、ただ使いたかった。

 

『KSウルトラライトギア』っていうおフランスの方の手作りザック。

 

実際お会いして作って頂いた品。

 

めっちゃめっちゃ良かった!最高のザック。